国際法務担当者の筋トレ

三度のメシよりネゴが好き(ネコではない)。某社法務担当が日々気になるトピックを少しだけ深掘りします。

NY Barを受ける意味

 

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7年たった今思う、NY Barを受ける意味とは

前提として、留学後の経歴を簡単にご説明すると、あの時点では社会人経験のない学生だったんですが、無事国内某社に潜り込み、法務を担当しております。会社の性質上、圧倒的に海外案件が多いため、英語のマテリアルをモリモリ読み、海外の弁護士にビシバシ指図し、外人とゴリゴリ交渉をする・・・そういう生活をしています。

そんな今、NYBarを受けといてよかったか、しかも会社に入る前にやっておいてよかったかと言われると・・・即答でYesです。

NY Barは勉強期間二ヶ月強の超短期決戦型の試験なので、中身は速攻忘れてしまいます。でも、憎きMBEで回し続けた単語は案外忘れないもんで、ありとあらゆる法分野の単語が頭に入れられたというのは大きいのかな、と。外人と法律的な話をしていて、単語がわからないから何をいっているかわからないという状況には陥らなくなったように思います。

また、NY Essayは短時間で起承転結の整った法律的文章をまとめなければならないので、限られた時間の中での英文作成能力も向上したような気がします。

もちろんDay 1では全く仕事ができないのは同じなのですが、会社に入る前に業務遂行上の基礎インフラを整えておいたので、やはり楽というか差となってでているなぁ、と。つまり、

NY Barの勉強=法律英語養成ギプス

だと思います。

逆に言うと・・・

NY Barホルダーなどうじゃうじゃいる昨今、受ける意味・受かる意味は、ロースクール留学も含めてですが、経験を積まれてキャリアができあがって来つつあればあるほど、形式的な側面が強くなるのではないのかなぁ、と。行くのであれば、キャリアのなるべく早いころに言った方が実質的効果が出る、そんな風に思っています。

NYBARについて考える~NYエッセイその他編

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NYエッセイは恐れるに足らず!

 

NYエッセイの勉強リソースは、二つ。 BarbriのNY本とBarbriの授業のノートです。

BarbriのNY本には、過去のエッセイの問題が模範解答つきで100題載っています。 Barbriのスケジュールに乗っかっていると、半分の50題くらいをやることになります。

さて、「やる」といって、何をやるのか。

 

答え。

  1. 問題文を読む。
  2. 答案に書くことをなんとなく思い浮かべる。ここまでで5分。
  3. 模範解答をフムフムと読む。 この程度です。

Barbriの授業に出ていると3回くらい実際に答案を書いてみて、それを添削してもらうチャンス があります。これは絶対にやるべき!です。 なぜかというと、実際の試験では10点満点中5点がつく答案を5問そろえられれば 合格だと教えられるのですが、答案を提出してみると、5点は意外に簡単に取れることがわかります。

定義とかかなりあやふやでも、なんか書けていれば1/3点は振ってきます。 結論にだって、問題提起にだって点は割り振られています。 ストライクゾーンから外れていても、暴投じゃなければ、相応の点がつくのです。

 

Barbriの問題添削とNYエッセイの検討を通じて:

  1. 正確に再生できるようになりたいルール(hearsayの定義とか)
  2. おぼろげに覚えておいて、あとはその場で適当にでっちあげるルール
  3. 完全に無視していいルール を出題頻度や重要性に応じて、区分けできるようになればしめたものです。

これさえできるようになれば、あとはNYエッセイ本を読むよりは自分の 授業ノートを読んで、記憶に努めればよいのです。 私自身はNYエッセイ本全部の問題を読んでいません。Barbriで課題で出されたのも 最後のほうは読んでいない(一応、全ての科目の問題には目を通しましたが)ので 合計40題強しか読んでいないような気がします。 だいたい何が出るのか感覚がつかめてきたな、と思ったら後は自分の ノートを「これはMBE」「これはエッセイ」と頭の中で区分けしながら 読めばよいのです。

勉強方法の全体的なイメージをいうと、最初はノートを読むところから始まって 途中は問題演習に比重を移し、最後にまたノートに帰ってくる感じです。

 

あと、本番では必ず知らない事が聞かれます。

 

これ習ってないよ!といいたくなるんですが、そのときは慌てず適当に近いルールを当てはめて先に進みましょう。

私は、とある論点で、民事のルールは知っていたが、刑事のルールを知らなかった (ノートにもなかったから、知らないで正解)について、民事のルール で書きました。 あと、信託の問題のところでも、相続のルールで書いたりしました。 そう、ここで必要なのは、大胆さ!です。 実際に点がついたかどうかはわかりません。

ただ、変なことを書いてもマイナスにはならないし、なにか書いておけばなにかしら点がついてくる可能性が高いので とにかく全ての論点について何かを書くようにしましょう。

弁護士登録に関して

*1

最後はあっけなかったんですけど、ここまで来るのが大変でした。 試験に合格しても、そこからが長かった・・・。 備忘のために、ちょっと書いておきます。

 

2007年11月 Webで合格を確認       

 

 ⇒しかし合格通知はいつまでたっても来ない。

2008年3月 合格通知がないと、登録ができないことに気がつく。       

 

 ⇒しょうがないので、再発行してもらうことにする。

2008年4月 合格通知入手。領収書とみまごうばかりのしょぼさ。

2008年5月下旬 登録書類の作成。          

青字はサインの公証が必要な書類。アメリカ大使館に行ってやる。         ・アプリケーションフォーム          

→大学経由で提出する素行調査の手紙          

→職歴証明書(あるいは上司からの手紙)         

委任状         

弁護士にふさわしい人格であることを証明する書類         

(2通。知人に証明してもらうので、その人と一緒に大使館に行く。)

2008年5月28日 登録書類一式郵送

2008年6月中旬 7月22日に面接と宣誓式があるから来いとの手紙         裁判所の予算を管理する部門に対して350ドルを納付する書類         

裁判所の弁護士登録をする部門に対して、350ドル納付の旨を通知する手紙         ⇒それぞれ7月22日必着。

2008年7月22日 宣誓式         

・面接は10分くらいか。          

ニューヨーク州の資格をどのように扱うのか           

弁護士として興味をもっている事柄などについて聞かれた。         

・30分に一回宣誓式をしていた。文言を復唱するのみ。ていうか、ぶっちゃけやらないで帰ってもバレない。                       

*1:ここに脚注を書きます昨日、ニューヨーク州弁護士登録のための面接および宣誓式を終えました。

NYBARについて考える~MBEの勉強方法編

 

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NYBARの試験は2日間です。

1日目は、NYPartsとかNYDayとか呼ばれていて 午前中にNYEssay3問とNY択一50問 午後はEssay2問とMultistate Practice Test(MPT)1問。

2日目は、NYのみならず全米でMultistate Bar Exam(MBE)。 MBEでは、6科目(刑法と刑訴を分けると7科目)をアトランダムに100問ずつ 午前と午後で、合わせて200題解きます。 7割が受かる試験(合格基準点は設定されていますが) 基本的には全ての科目で平均点が取れれば合格です。

とりあえずMBEビール

 

まず最初に手を付けるべきは、なんといってもMBEです。 英語にハンデを考えるともっとも安全かつ確実な得点手段だし MBEが解けるようになると、その科目のNYEssayもそこそこ書けるようになっているからです。

残りはNYPartsの科目について、Essayが書ければだいたいよいので MBEが形になってくると、手探り感がなくなってきます。 その頃になると、どのくらい時間をかければその科目が終わるのかわかるようになるので あとどのくらいやればいいのか、見込みがたつようになると思います。

MBEが形になってくる=MBEを50問解いてみて正答率6割くらいかと思います。

 

これは、本番の平均点が大体6割くらいであることと よく聞かれるルールをむらなく覚えた段階での正答率がこのくらいじゃないかと思うからです。 Barbriの授業をこなしつつ、あるいはそれと同時進行で ノートを読んだりアサイメントをこなしたりしつつ、正答率6割に到達する・・・ これは、全受験生が到達すべきポイントなので、早いにこしたことありません。

目標はBarbriのMBE模試のあたりにそこまでいければ かなりいい感じだと思います。

 

Barbriの講義がビデオロケーションだと1週間遅れなので難しいんですが。 このチェックポイントを通過した段階で MBEでさらなる高みを目指すのか なにかと不安なEssayに重点を置くのか 自分の性格や英語力と相談して、考えればよいと思います。

 

さて、MBEの勉強といって、どのような勉強をすればよいのか。

 

答え。

ノートを読む→問題を解く→答え合わせをする→ノートを読む…の永久ループ

時間はきちんと計って解くこと。 3時間100問、1時間34問、18分で10問、9分で5問 少ない時間でも時間は死守するようにして 身体で覚えこんでしまったほうがよいです。 時間管理については、SGウォッチというフリーソフトを利用していました。

去年、手元にあるMBEの問題を数えたんですが Barbriが提供する本とPMBRの赤本青本合わせて 4700題くらいあったように記憶しています。 これだけで1410時間分!

繰り返して解くよりは、新しい問題を解きましょう

 

繰り返して解く価値があるとすれば、Barbriの問題集のIntermediateの問題。 私は、模試も含めて、Barbriの問題にせよ、PMBRの問題にせよ 本番の問題とはズレがあった印象をもっています。 一番近いのがBarbriのIntermediateとPMBRの模試の中の良問かなぁ、と。 (MBEの問題はリタイアしない限り公表されません。 毎年、BarbriやPMBRの人間が、別の州の試験を受ける! といって本試験を受けてるらしんですが、 まぁ人間が覚えることなので限界があるみたい。)

日本の択一式試験との大きな違いは、MBEは全部事例問題だってことです。 民法の事例式問題みたいなやつが、100題並んでいると思ってください。 聞かれているのが、憲法であろーと証拠法であろーと事例なんです。 だから、ルールを覚えただけではまだ半分で 問題を解いて、アプリケーション(法の適用)の練習をしなければならんのです。 (極端な例でいうと、177条だけ教えられていて それを取消、時効、相続放棄などの事例に当てはめさせられる感じ)

ひたすら数をこなすしかありません。 どれくらい解けばアプリケーションまでできるようになるかは 法律センスの問題なので、人によって違うと思います。

PMBRの問題集は、総じてどのルールについて聞かれているのか見えやすいです。 実際の試験は、赤本の問題ほどわかりやすくない。 ルールが見えにくいといった面で近いかな、と思うのがBarbriのIntermediateの問題です。 あれを大事に解いておけばな…と今思います。 あと、本番では、ルールは知っているのに「そっちから攻めてきたか!」 というような問題があったのですが そういう光るぴかぴか(新しい)問題はPMBRの模試にありました。

赤本は勉強初期、ルールを覚えている段階に利用するのがよいように思います。

 

青本のほうは、なんか古臭い感じ(事実とかが)がするのですが、お好みで。 BarbriのAdvancedの問題とPMBRの模試の問題多くは 「細けぇよ!」「複雑すぎだよ!」という感じ。 (二重譲渡で、9人くらい出てくる一大スペクタクルをみたことがあります。)

私がもう一つ反省している点は、直前一週間にMBEを解かなかったこと。

本番では、アプリケーションの感覚が鈍っているように感じました。 直前期は、毎日MBEに触れておくほうがよいと思います。 思ったより長くなっちった。 NYEssayなどについては 以下次号。

NYBARについて考える~勉強開始前の疑問編

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どのくらい勉強すれば受かるものなのか?

 

総勉強時間は470時間くらいです。

「1日14時間~15時間くらいやっていた」 「前年の9月からやっていた」 「1月からは授業に出ないでローの自習室でずっとやっていた」 などという、オソロシイ噂を聞きましたが まぁたぶんそんなにやらんでもよいのです。 ご安心めされい。

むしろ数値目標とすべきはMBEを解いた数だと思います。

 先の表でいくと、全体の3分の1くらいの時間をMBEに割いています。 今計算してみたら、思ったより少なくてびっくりしたんですが 本人の感覚でいうと、NYBARの勉強≒MBEの勉強くらいな感じです。 少なくとも問題演習に割いた時間は、ほぼMBEを解く→答え合わせをしていました。

合格するためには、日本人のみならず、JDにとっても MBEが平均くらいとれるようにならないとお話になりません。 なるべく早く、50問くらい解いて安定して6割くらいの正答率が とれるところまでもっていく必要があります。 MBEの問題の詳しい内容については、後のエントリで書きますが 何問くらい解けばそこまでいくのかは、人によって違うと思います。

私がそのレベルまでいったのは PMBRの模試の時期(7月13日頃)だったように記憶しています。だいたい2000題くらい解いた時点です。 いかんせん時期が遅かったので、本番のMBEの点数は132.5とあまり伸びませんでした。

合格のためのコツのひとつは、MBE6割の壁をなるべく早く突破することだと思います。

 ○○だから、受かりやすいの謎

 ○○には、弁護士とか、家族がいるかどうかとか、出身大学とかが入ります。 勉強始める前は、結構気になるんですが、今思うに、スペックそのものが問題なのではないです。 要は自分を追い込む術を心得ているかどうかっちゅーことだと思います。

NYBARは一気呵成にグワッッと勉強して、受ける試験です。

 

短期間にケタ違いに伸びることが期待されていて、伸びなければ落ちるんです。 5月下旬に入ったら、いきなりフルスロットルで爆走してかなければいけません。 思うように理解と記憶が伸びていかない、集中できない、やる気がでない・・・ そういう事態になったら即座に立ち直らないと、ほぼアウトです。

難関を突破してきた方は、それが難関であればあるほど 自分にとってうまくいく方法を知っている。だから、総じて受かる人が多い。 そういうことなんだと思います。

敵を知り己を知れば百戦危うからず、といいますが 敵についてはBarBriがかなり細かく教えてくれます。 敵以上に己を知ることが重要なんじゃないかな、と。 先行逃げ切り型なのか、まくり一発型なのか 聴くほうが集中するのか、読むほうが集中するのか 新しいツールを使いこなせるようになるのが速いのかどうか など、自分の癖を把握しつつ、やってけばよいんでないかと。

どのように勉強すればよいのか?

 

以下、次号。

再開

先週の金曜の段階で、既に、脳みそが ボロ雑巾みたいになってましたが それでも カラカラになった雑巾、しぼり尽くしてきましたよ。 みんな、お疲れ。私、お疲れ。 ビタ一文たりとも動こうとしない頭なんですが リハビリも兼ねまして ぼちぼちNYBARの傾向と対策について、書こうかと思います。