国際法務担当者の筋トレ

三度のメシよりネゴが好き(ネコではない)。某社法務担当が日々気になるトピックを少しだけ深掘りします。

Kuno Cup

現在、夜の一時をまわったところです。

今日は、International Trade & Developmentの試験です。

勉強中に「これっていい問題になるんじゃないの?」と思ったので、いてもたってもいられなくなりました。

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サンバデカーニバル国(本件の被告)では、ウイルスに感染した結果、免疫機能が低下し死に至るカレイズという病気が蔓延し、国民がバタバタ死んでいました。カレイズの有効な治療法は長期の投薬によって、免疫機能の改善をはかるというものです。しかし、カレイズに有効な医薬品は先進国の製薬会社が特許を持っており、貧乏なサンバデカーニバル国とその国民にはとても買える値段ではありません。

困ったサンバデカーニバル国は「国が必要だとみなした場合、自国の会社に特許の強制許諾(特許権者の承諾なく、国が特許を許諾すること)をすることができる」という法律を制定。以降、サンバデカーニバル国内の製薬会社はジェネリック医薬品を製造・販売し、同種の医薬品を輸入した場合と比べて三分の一のコストで薬が手に入るようになりました。サンバデカーニバル国は見違えるほど健康になりました。短期間で平均寿命が10年も延びたくらいです。

オットット製薬会社は、ポリースザワールド国(本件の原告)の会社で、カレイズ治療に有効な薬の特許を保持していました。オットット社はサンバデカーニバル国の政策によって、医薬品を輸出できなくなりました。オットット社が政府首脳に働きかけたところ、ポリースザワールド国はサンバデカーニバル国を非難する声明を発表しました。

「サンバデカーニバル国の政策は、国際法に違反している。けしからん。」

サンバデカーニバル国はすかさず言い返しました。

「うっせー、こちとら命かかっとるんじゃ、つべこべいうな。」

キレたポリースザワールド国は、WTOの紛争解決手続に違反申立てをしました。

ポリースザワールド国とサンバデカーニバル国はともにWTOのメンバーで、TRIPS(WTO設立協定付属書1C、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)にもサインしています。

原告ポリースザワールドは以下の宣言を求める。

「サンバデカーニバルはTRIPSおよび国際法に違反している。」

被告サンバデカーニバルは以下の宣言を求める。

「サンバデカー二バルはTRIPSおよび国際法に違反していない。」

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「感情」対「法」の争いになるので、いい問題になると思ったんですけど。

細かいところは大目に見てください。もうすぐ深夜2時です。

とっとと寝るか勉強しろって感じだ。