国際法務担当者の筋トレ

三度のメシよりネゴが好き(ネコではない)。某社法務担当が日々気になるトピックを少しだけ深掘りします。

期末テスト総括

本日、秋学期の期末テストが終了。 とりあえず、万歳三唱。 ばんざ-い ばんざーいばんざーい。 色々、思うところがありました。 私の受けた試験は、どれも3時間の試験です。 憲法の試験は4時間とかだったらしいです。 ただ、LLM(留学生)のうち、前の法律の学位を英語以外の言語で取得した場合、 1時間につき、20分延長してもらえるので、実際に私が答案を書いていた時間は4時間でした。 以前のエントリで、4時間なげーと書きましたが、時間が余るということではなくて、集中し続けるのには長過ぎるという意味です。開始後3時間くらいで、「おなか減ったな」とか「書き飽きた」とか試験と関係のない思念が紛れ込みます。 それぞれの試験を振り返ります。 7日 Antitrust Law (独占禁止法) 唯一Closed Bookだった試験。これは資料持ち込み不可という意味です。日本ではそれが普通ですが、こちらだと珍しい。It's never a closed book in real life!!という愚痴をよく聞きました。資料持ち込み不可だからといって、問題が相対的に易しいということもありません。現実の事例をいじった大問5題。総ページ数にして、ぎっちり10枚。無駄な事実なさげ。1問の中で、3つくらい違反が問うことを求められたりしていている。最初のほうは、事実をことごとくあてはめて書いていたら、時間が全く足りませんでした。 4問目の前段(これも、tying arrangement、再販売価格維持行為、モノポライゼーションと3種類シャーマン法違反にした)が終わった段階で、残り15分。4問目の後半を書くか、5問目を少しでも書くか選択をするハメに。5問目を読み始めたところ、一読しただけでは論点がわからない。ピーンチ! 入札の談合っぽい話だったので、上の方で書いた一般論をコピペして、あてはめを書いている間にタイムアップ。実質3問半ですね。orz まわりに聞いてみたところ、皆時間が足りなかったようです。5問目は論点がわからない、とも。 ちょっと、ほっとしました。 反省点としては、最初の方の問題で、今考えればどちらでもいいこと(具体的にいうと、Quick Look を使うか、Rule of Reasonを使うか)を手を動かしながら悩んでいたりして、その分能率が落ちていたこと、あと時間配分を厳格に決めていなかったため、「時間内に書けることを書こう」という視点が欠けていたことがありました。かなり竜頭蛇尾な答案が出来上がりました。 11日 International Business Transactions 大問4題。1題の中で小問3つに分かれています。合計12個。十分多いです。 IBTは、国際売買、国際運送、国際金融取引、国際商事仲裁、国際知財、国際企業、国際税務、貿易と、まるでウインドウショッピング。この科目としての特性と、担当教授の特性から、ひとつひとつの問題がとてもOpen-Endedでした。事例を持ち出されて、対策としてオプションがあるのか聞く問題ばっかりです。中には、どう考えても国内法を持ち出さないと答えられないものも多い。しかも説例が非現実的。(ある日突然、独裁者が現れて、水着を着るのを禁止する立法をしたりする。これに不可抗力の抗弁が使えるか聞かれてもね。。。)この科目をとったことを後悔しながら粛々と答えを書きました。 Open Bookだからといって、じっくり資料をみて考える時間はありません。どこに何が書いてあるかを把握していて、そこから抜き書きする、という感じ。事前準備はあんまり役に立たず、自頭勝負(あと英語力)になってしまうようです。精神的にはオープンブックのほうが楽だし、でも試験前に時間をとってルールを覚えなくていいぶん準備時間が少なくてすみます。 アンチトラストの反省から、大問1題1時間を厳格に守り、1時間で書けることしか書かないポリシーでやったので、無事に終了。ただ、何を求められてるのかサッパリな問題(問題のほうが悪い)が多かったので、出来は謎。 12日 Securities Regulations 慣れもあるのでしょうが、一番時間的には余裕がありました。語数制限があったというのもあります。大問は3つ。ページ数は2枚。事案そのものは教科書事例以下のシンプルなものでした。とりあえず、第3問の事案処理から、始めました。この問題、範囲の色んなところから(おそらく)5つ論点を書かせることが目的。800語が字数制限だったのですが、書き終わってからワードカウントしてみたところ、990語書いていて削るハメに。990語でもわりに贅肉がなかったと思うんだけど。 面白かったのが、第二問。授業中に議論した、SR上の政策的議論について論じたのち、なぜ先生が政策的議論が重要だと考えているのか書けという問題。授業ちゃんと聞いてるか確かめたかったんでしょうかね?案の上、私は授業中の政策的議論は、授業指揮の問題もあって、議論についていくやっとでノートとれていなかったし、第一どうせでねーよと思っていたので、結構げげ、と思った問題でした。テスト後「救済問題じゃないの?」という意見もあり。 授業でやった範囲を広くカバーした試験でした。 語数的には、4時間で2000語前後書いています。 なぜ語数がわかるかというと、PCで答案を書いているからなんですね。 腱鞘炎になりそうな手の痛みは今回はなし。 日本語の答案を手書きで書く力が落ちるのではないかという指摘がありましたが、 私はあんまり関係ないと思っています。 PCを使うと手書き力が落ちるのは主に漢字が出てきにくくなることに原因があると分析しているので、英語を書いている分にはこの点の影響ありません。 また、日本語と違い漢字変換をしないので、英語を書く場合にはPCで書くと、タイピングスキルさえあれば、考えるスピードと同じスピードで答案を書けるのもよいです。日本語の場合は、手書きのほうが考えるスピードに近いような気がします。 さらに、事務所側はともかく、教授たちは圧倒的にPCを使うことをしきりにプッシュします。これは、たいていのアメリカ人の手書きは癖がひどいので読みにくいからでしょう。手書きの場合は不利に採点することがあると明言する先生も多いです。 と、こんな理由からか金満ぴかぴか(新しい)日本人のテストにおけるPC使用率は100%でした。 ただ、試験用のソフトウエアを動かすには北米バージョンの環境が必要という建前なので、たいていの留学生はPCを買い替える必要に迫られます。他の国からのLLMは手書きの人の方が多かったです。 ちなみに、試験用のソフトウエアを実験的に日本語環境で動かしてみたところ余裕で動きました。ただ、事前に事務所のチェックをされたので、実際に日本語環境のみで試験を乗り切ろうとするのは難しそうです。北米バージョンを使っていても、日本語を読んで書けるように設定しておいたら、試験中フリーズしたというオトロシイ報告もありました。 また、今回の試験中、スペルチェックをするとトラブルが起きるというソフトウエアのバグがあったらしいです。私はアンチトラストでは、スペルチェックをする時間がなく、ほかの科目ではバグの報告を聞いていたので、スペルチェックをしていません。スペルチェックができるというのは、PCのもうひとつの大きなメリットです。SRは時間があったので、990語から字数を削っているときに見直しをしたんですが、ものすごい数のタイプミスをしていました。スペルチェックをして、あとで修正できないとなると、手書きのほうがミスのない答案を書けるのかもしれません。 今回は、ソフトウエアの不具合の報告が教授たちに通知され、スペルミスは採点に響かないようになるらしいです。